第20話

部屋に上げられた舞は、リビングのソファーに座らされて、その隣に友季、友季の向かいの席に初華が座った。



そして、



「私の席はここー!」



友季に恋する小さな乙女は、友季の膝の上を陣取っている。



この小さな乙女は初華の一人娘で、名前を愛華あいかというらしい。



――友季の話によると、こうだ。



初華が旦那と些細な理由で喧嘩をして実家に帰ったが、両親は何故だか旦那の味方をして家に入れてはくれなくて。



けれど、どうしても旦那の元に帰りたくなかった初華は、愛華を連れたまま友季の部屋に転がり込んできた。



家事育児と慣れない仕事で疲れている初華は、風呂くらいは1人でゆっくり浸かりたいと、友季に愛華を押し付けてバスタイムを堪能して。



その間に愛華の遊び相手をしていた友季は、いつの間にか寝てしまい――



その隙をついて、母のバッグから口紅を盗んだ愛華は、それを自らの唇に塗るというイタズラを働いた。



そして、大好きな友季が寝ている隙にその赤い唇でキスをしてきたらしい、と。



その直後に舞が来てしまい、友季は自らの置かれている状況に気付かずに、舞を泣かせてしまったのだ。

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