第18話

でも、冷静になってよく考えてみると――



5歳の女の子が、大人向けの白いパンプスを履いて深紅の口紅を塗ったりするだろうか。



――いや、どう考えてもしないだろう。



「……トモくん。つくならもう少しマシな嘘ついてよ」



舞が険しい表情をしているのが空気で分かった友季は、



「えっ? 嘘なんかじゃ――」



慌てて弁解しようとしたが、



「じゃあ、正真正銘のロリコンなの?」



「……」



多分、今はもう何を言っても誤解しか生まないと判断した友季は、黙ることにした。



気まずい沈黙だけが車内を満たし、それが舞のことも友季のことも不安にさせる。



舞のアパートから友季のマンションまでは車を使えばそんなに時間はかからないはずだが、今日のこの時間は永遠のように長く感じた。



長く感じたドライブを経て、友季のマンションへと到着。



2人でエントランスを抜けてエレベーターに乗り、友季の部屋の玄関扉を開けて――



その瞬間、視界に入ってきた例のパンプスに、



「!」



驚いた舞は咄嗟に後退あとずさり、部屋に入ることを拒絶した。

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