第15話

舞はその声には答えず、



「後片付けさせちゃって、ごめんね」



元気のない声で直人にそう告げた。



「舞の元気のない時くらい、別にいいよ」



元気のない原因があのロリコンだということが唯一気に食わないが、それは言っても仕方のないことだ。



そうこうしているうちに、



――ピンポーン……



仕事を終えた友季が、舞を迎えにやって来た。



玄関に近いキッチンにいた直人が先に玄関扉を開けに出て、



「よぅ。ロリコンオヤジ」



開口一番、友季に嫌味を浴びせた。



「……舞は?」



明らかに元気のない様子の友季はそれだけを訊ね、



「俺が優し〜く慰めたから、今は俺のベッドで寝てるけど?」



そんな直人の言葉を聞いた直後、



「お前っ……!」



右手で扉を掴んで強引に開き、左手で直人のシャツの胸ぐらを掴んだ。



そうしてしまってから、部屋の奥にいた舞と目が合う。



「ま、舞……? あれ……?」



状況が掴めずポカンとする友季を、



「冷静さを失くすぐらいに舞のことが大事なら、泣かしてんじゃねぇよ」



自分の胸ぐらから友季の手をべりべりと引き剥がした直人が、思い切り睨み付けた。

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