第14話

いつもなら何も予定のない休みの日は、お店が開いている時はケーキや焼き菓子を買いに行って自宅でティータイムを楽しむのだが。



初めて、友季のお菓子は食べたくないと思ってしまった。



泣き腫らした顔で出かけるわけにもいかず、結局この日の舞のおやつはキッチンにあったバナナのみとなった。



夕方、学校から帰宅してきた直人に、



「あれっ? バナナなくなってる!」



と言われて初めて、今日一日だけで一房全部を食べてしまったことに気が付いた。



そういえば、昼食もバナナで済ませた気がする。




直人はゴミ箱に捨てられたバナナの皮たちを眺めながら、



「バナナダイエットでもしてるの?」



呆れた声を出した。



「そんなのあるの?」



「いや、知らない」



そんな緊張感のないやり取りをしながら、2人で夕食の支度をする。



簡単に作れるものをということで、豚肉と白菜のミルフィーユ鍋にした。



心が冷たく塞ぎ込んでいる舞には、直人と2人でつつく鍋の温かさが心に染みた。



残った具材と出汁を利用して、直人がシメにチーズリゾットを作ってくれて、それを美味しく平らげた舞は、



「……このままお風呂入って寝たいな」



ローテーブルに左頬をぺったりとつけて、そんなことをぼやいた。



「あのロリコンがもうすぐ迎えに来るぞ」



食後の後片付けをしている直人が、キッチンから心配そうに舞を見つめる。

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