第87話
「……10歳も年下の女の子を狙うなんて、いい歳して恥ずかしくないんですか?」
先程よりも棘のある直人の言い方に、友季は、
「……?」
もしかして、目の前の彼は舞の彼氏ではないのではないか?
という疑問にぶち当たった。
「鈴原さんとは、どういうご関係なんですか?」
友季は直人の質問には答えず、逆に質問し返していた。
一方的に攻撃をするつもりだった直人は、その質問に面食らったが、
「舞とは……一緒に住んでるし、キスだって普通に交わす仲ですけど」
舞を取られたくない一心で、嘘を交えて答えた。
「……!」
直人の言葉を素直に受け取った友季は、途端に傷付いた表情を浮かべて俯く。
友季の表情に気付いた直人は、ますます不機嫌そうに目を吊り上げた。
「やっぱり、舞のことが好きなんだな」
「……」
否定出来ずに、友季は黙ってしまう。
「舞の上司だか何だか知らないけど、俺と舞の仲を邪魔しないでくれ」
友季を完全に敵と見なした直人は、もう敬語で話すことをやめにした。
「これ以上舞に何かしたら、パワハラとセクハラで訴えてやるからな」
「……」
受けたショックが大きすぎた友季は、もう何も言葉が出てこなくて。
「……気を付けます」
何とか紡ぎ出せた言葉が、それだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます