第81話

舞は、なんとなくぼんやりする頭で考えながら、



「……」



友季の顔をじっと見つめた。



「……っ」



いつもよりも気だるげな表情で見つめられた友季は、思わずドキッとする。



「ミルクプリン」



ぽつりと聞こえた声で、友季はハッと我に返った。



「ミルクプリンが食べたいです」



「カスタードじゃなくて?」



友季の質問に、舞は頭をふるふると横に振る。



「ミルクがいいです。濃厚でとろとろの」



急に頭を振ったせいだろうか……少しだけぐらっと目の前の世界が回った気がする。



「とろとろのヤツか……分かった」



友季が難しそうな表情で頷いた直後、



「あ……」



ふらつく体を自分で支えきれなかった舞の体が、大きく傾いた。



「鈴原!?」



舞の異変にすぐに気付いた友季が、慌てて舞の体を支える。



触れた舞の体は、コックコート越しでもはっきりと分かるくらい、熱かった。



「お前、熱が……」



「あの……これくらい大丈夫なので」



舞は慌てて自分で体を支えようとしたが、



「あれ……?」



上手く力が入らず、膝から崩れるようにして床の上にしゃがみ込んだ。

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