第71話

「えっ? ちょっと……どこ行くの!?」



そんな美和の慌てたような声を無視して、友季はさっさと自宅を出た。



追いかけてこられたらどうしようかと一瞬だけ思ったが――美和は服を着ておらず、下着だけの姿だったので、まぁまず大丈夫だろう。



友季は車に乗り込み、とりあえずは駐車場を出る。



どこか泊まれそうな所がないかを考え――車を少し走らせた所にある、24時間営業のネットカフェで過ごすことに決めた。



そこでシャワーを浴びて、割り当てられたブースに入り、



「はぁ……」



ようやくほっと息をつくことが出来た。



舞のことを好きだと自覚したのは、本当につい最近。



1人でゆっくりと考える時間が欲しかった。



どうすれば、舞に自分のことを気付いてもらえるのか。



どうすれば――舞に、好きになってもらえるのか。



パソコン台の上に突っ伏した友季の頭の中は、舞のことでいっぱいになる。



「……舞……」



無意識に舞の名前を呟き、耳に届いたその響きに、友季は年甲斐もなく1人で照れた――

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