第69話
そんなふざけた話を、友季は受け入れるつもりなど毛頭なかった。
だが、計画を進めていくうちに、どうしても経済的な問題で
焦って血迷ったのか、友季は美和の提案を受け入れることにしてしまった。
借金を全額返済すれば、その“夜の遊び相手”もしなくていいと聞いていたから。
全額返済するまでの辛抱だと自分に言い聞かせて、今までを過ごしてきた。
だが――もうとっくに完済しているはずなのに、
「ねぇ、友季。早く来て」
何故か今、目の前の自分のベッドの上には美和がいて。
「……美和さん……約束と違います」
友季は一滴も酒を飲んでいないはずなのに頭痛を覚えて、右手でそっとこめかみを押さえた。
「この部屋の合鍵も、早く返して下さい」
「どうして? 私たち、恋人でしょう?」
ベッドから立ち上がった美和は、友季に正面から抱きつく。
「美和さんのことを好きになったことなんて、1秒たりともありません」
世話になっていた手前、美和を突き飛ばすことは出来なくて、言葉でのみ拒絶を示した。
「俺には、ずっと前から好きな人がいるので」
友季のそんな言葉に、
「……それ、初めて聞いたんだけど」
美和はムッとした。
「俺も、初めて言いました」
友季も負けじと美和を睨みつける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます