友季の真っ直ぐな視線に気付いた舞は、

「！」

急に恥ずかしくなって俯いた。

彼氏がいたことないだなんて、そこまで答える必要はなかったのだと、今更ながらに気が付いたのだ。

こんなに気まずくては、

（もう、飲まなきゃやってられない！）

もう開き直って飲むしかない。

舞はむんずとグラスを掴むと、

「おぉ……」

皆が見ている前で梅酒をぐびぐびと飲んだ。

「私も次、コークハイ飲みたいです！」

舞が上田の飲んでいるものと同じものを指名すると、

「うん、これ美味しーよー」

上田は、嬉しそうにへらっと笑った。

急に飲むペースを上げた舞を、友季は心配そうに見ながらも、

「……」

結局はどうすることも出来なくて、黙って見守っていた。

お酒が進み、皆の酔いがまわってくると、

「鈴原さんってさ、なんでこの業界目指そうと思ったのー？」

普段は無口な高橋ですらも、積極的に話し出す。

多分、高橋は自分が積極的に喋っていたことなんて、酔いが覚めれば覚えていないのだろうけれど。

唯一シラフの友季だけが、皆のぶっちゃけ話を覚えて帰ることになるのだ。

「え〜っとぉ……」

酔いがまわって気分がいいのか、舞は普段現場では見せないようなニコニコとした笑顔で、

「私が小学校に入学してすぐの時の話なんですけど〜」

例の、高校生に助けてもらった時のことを語り出した。

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