第58話

この日は火曜日で、前に友季が言っていた舞の歓迎会開催予定日でもある。



皆で頑張って早めに仕事を切り上げて、予約していた焼き鳥屋で、



「えー、では! 鈴原さんの仲間入りを祝して、カンパーイ!」



メンバーの中で一番チャラけている山田が音頭おんどを取り、皆で乾杯した。



ずっと飲みたかった梅酒がやっと飲めた舞は、



「はぁ……」



幸せそうな溜息をついた。



別に家でも飲むことは出来るが、まだお酒の飲めない直人が切なそうな表情を見せるので、自宅では極力飲まないようにしている。



「……鈴原は、酒も好きなんだな」



舞の向かいの席に座って意外そうな声をかけてきた友季の手には、烏龍茶のグラスが。



「シェフは、お酒は飲まないんですか?」



別に興味はないが、一応社交辞令として質問しておく。



「俺は車で来てるからな」



友季はさらりと答えたが、



「単に甘党で下戸なだけでしょ」



舞の隣でコークハイを美味しそうにぐびぐびと飲んでいた上田が、さらりと暴露した。



「ちょっ、上田さん!」



友季が慌てて上田を睨む。



「若い子の前でオッサンがカッコつけたってしょうがないでしょー?」



「……オッサン……」



お酒が入っているせいか、上田の毒舌がいつもより酷い。

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