第52話

「じゃあ、コーヒー淹れるね」



料理を作るのは舞よりも直人の方が上手だが、コーヒーやお茶を淹れるのは、舞の方が上手だったりする。



お互いに得手不得手なものが逆なので、相手の苦手なものを補い合いながら生活している。



役割分担が無意識のうちに上手く出来ている自分たちは、相性のいいカップルになれると思うのに。



そんなことを悶々と考えながら食べたミルクレープの味は、



「……」



甘いのに、どこか苦く切ない味がするのだが、それは間に挟まれた濃いめのチョコレートソースのせいだと、直人は思うことにした。

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