第50話

直人が何かを言いかけた時、



――ピロリンッ



テーブルの上に置いていた舞のスマホに、メッセージが入ったことを知らせる通知音が鳴り響いた。



「!」



その音に驚いた直人は、反射的に舞の手を離す。



「あ……シェフからだ」



そんな舞の独り言に、



「……連絡先、交換したの?」



直人の表情が、急に険しくなる。



「職場の皆が入ってるグループトークに、私も入れてもらったの」



舞をグループに招待してくれたのは上田なので、個人的に連絡先を交換したのは彼女だけなのだが。



きっとグループのメンバーのリストから、友季が勝手に舞のアカウントを友達登録したのだろう。



雇い主だから、業務連絡が個人メッセージで届くことは、別におかしなことではないと思うし。



メッセージアプリを開くと、そこには舞の歓迎会が来週の火曜日の夜に、焼き鳥屋で開かれることが決定したとの連絡が来ていた。



「やったー! 焼き鳥だー!」



嬉しくて思わず叫んだ舞に、



「え? 焼き鳥?」



直人は首を傾げた。



「来週の火曜日の夜! 私の歓迎会開いてくれるって!」



舞は嬉しそうに言ったが、



「ふーん……良かったね」



その日の夜は1人で過ごせと言われたも同然の直人の返事は、素っ気ないものだった。

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