第42話

舞は元々は甘党なのだが、悩み事や落ち込むことがあれば、ふらっと1人で飲みに出かけることもあるくらい、お酒はそこそこ好きな方だ。



そういう時のお酒のお供は、焼き鳥と決めている。



「……へぇ。焼き鳥好きなんだ?」



友季は意外そうな目で舞を見た。



「可愛らしい雰囲気だから、イタリアンとかお洒落な店がいいって言うかと思ってた」



「えっ……」



昨日の初対面ではあんなに感じの悪い態度だったのに、突然“可愛らしい”とは一体全体、何が起きたのか?



そんなびっくり発言に、頬を赤らめて照れてしまう――なんてことは、舞の性格的にはありえないことで、



「……何か変なものでも食べたんですか?」



とても冷ややかな眼差しを友季へと向ける。



「へ……!?」



予想だにしていなかった舞の切り返しに、友季は目を点にして固まった。



舞のことを、昔助けた小学生かもしれないと思った瞬間から、初対面での対応を実は激しく後悔していた友季。



なんとか挽回出来ないものかと、最大限優しく接しているつもりなのだが、



「初対面の挨拶の時と態度が違いすぎて、正直シェフのことが凄く怖いです」



全然、全く上手くいかない。

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