第41話
友季ににこやかに言われ、
(……急に優しくされると怖いんだけど)
舞はそう思ったが、勿論、そんなことは本人には言えない。
「ありがとうございます」
このケーキも確かに舞の好物ではあるので、ありがたく頂くことにする。
“私が焼いたの!”と言えば、話すのが気まずい直人とも普通に会話が出来るようになるかもしれない。
「お前さ、来週の火曜日か水曜日の夜、どっちか空いてる?」
友季の唐突な質問に、
「……なんでですか?」
舞の警戒心は再びマックス値にまで跳ね上がる。
「鈴原の歓迎会をしようって皆で話してて」
「あ……」
「ウチは水曜日が定休だから、その日か前日の夜がいいかと思って」
職場の皆がそんな話をしてくれていたなんて、嬉しくなってしまうではないか。
「で、今上がってる候補が、焼肉かお好み焼きか焼き鳥なんだけど」
……どれも服に匂いが付きそうなチョイスだ。
「鈴原は何か希望ある? 別にこれ以外でも、イタリアンとか……主役だから、遠慮しなくていいぞ」
友季の言葉に、舞はケーキ箱を大事に胸に抱えたまま、考え込んだ。
知り合って間もない人たちと、1つの鉄板の上の食べ物をつつきあうのは何だか少し抵抗がある。
「焼き鳥が食べたいです」
元々、好物だし。
それとお酒が飲みたい気分だったし。
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