第40話
(家に帰るの、気まずいな……)
1日中そんなことを考えていたせいだろうか。
この日は、やたらと1日が終わるのが早かった気がする。
まぁ、舞がやっていた仕事は、殆どが苺のヘタ取りだったり、洗い物を片付けたりといった雑用だらけだったけれど。
けれど、直人と2人きりで過ごす時間よりは、こちらの方が何倍も気が楽なような気がしていた。
更衣室で着替えを済ませて部屋を出ると、
「鈴原」
舞のことを待ち構えていたらしい友季に呼び止められた。
「お前って、実家暮らし? それとも一人暮らし?」
一人暮らしにしておけば良かったと後悔しているところにその質問が投げかけられたので、舞は面食らった。
「……ルームシェアをしてるので、その子と二人暮らしですけど」
一体何を言われるのかと身構える舞の目の前で、
「そうか。なら、その子と2人で食いな」
友季は小さなケーキ箱を差し出す。
確認のために中を見てみると、そこには今日舞が焼いたクレープで作られたミルクレープが2つ入っていた。
今日作ってショーケースに出したものは全て完売したはずなのに。
どうやら全部を並べてしまわずに、この2つだけを取り置いてくれていたようだ。
「自分で作ったものを食べてみるのも、勉強のうちだぞ」
「……殆どシェフが作られたものですけど」
「基礎を作ったのは、鈴原だろ」
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