第39話

そんな舞の態度に、友季は複雑そうな表情をしながらも、



「……苺の続きしといて」



ケーキ屋にとって苺は大事なので、そう告げた。



「……はい」



また新しいことを教えてもらえるのかとワクワクしていた舞は、少しだけ落ち込んだ表情を見せたが、すぐに苺を取りに冷蔵室へ向かう。



「シェフ」



舞の姿が見えなくなってから、上田は真っ直ぐに友季の目を見た。



「うん?」



「私は鈴原さんのことが気に入ったので、意地悪して辞めさせないで下さいね」



上田の真剣な眼差しを受けて、友季は、



「……上田さんてさ、俺のこと何だと思ってんの?」



呆れた眼差しを返す。



「私の雇い主です」



上田の眼差しは相変わらず、真剣で真っ直ぐだ。



「聞きたかった答えと違うけど……うん、まぁいいや」



何だか面倒くさくなってきた友季は、もう何か言うのを諦めた。

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