第24話

なのに何故、そんな夢を見てしまったのか?



「ぐぬぬ……」



確かに彼氏イナイ歴=実年齢ではあるが、夢に向かってがむしゃらに走り続けている舞には、恋愛など到底興味が持てなくて。



当然、キスだって未だにしたことはない。



だから、実際のキスの感触など知らないはずなのに――



唇に残った感触と熱が、夢にしては妙にリアルで生々しいのだ。



今まで、強がりでも何でもなく本気で彼氏など必要ないと思っていたのだが、そんな夢を見てしまうということは、



(……私は実はそんなにも欲求不満だったということか……!?)



そんな考えにぶち当たり、自分自身でショックを受けた。



「……あ。起きなきゃ」



昨夜見た夢を引きずっている場合ではない。



舞が見ていいのは、一流パティシエになるという“目標”を意味する方の夢だけなのだ。



そのためには、



(まずは、あのクソシェフをギャフンと言わせる!)



それが一番大事。



友季ヤツをギャフンと言わせるには、遅刻なんてしている場合ではない。



ベッドの布団を軽く整えた舞は、



「よっし!」



気合いを入れるべく、ベッドの横で両腕を上に突き上げ、思い切り伸びをした。

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