第22話

「……ファーストキスが苺の味って……何だよ、これ」



いつもの舞の香りとは違う、まるで苺ショートを思い起こさせるような甘い香りに、



「……こんなの……我慢出来るわけねぇよ……」



もう舞はそのイケメンパティシエとやらの色に染められてしまっているような気さえした。



直人の中の男の勘が、まだ会ったこともないそのパティシエは危険だと警鐘を鳴らす。



けれども、今の直人にはどうすることも出来なくて、



「……」



気持ち良さそうに眠っている舞を、泣きそうな目で見つめることしか出来なかった。

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