第19話
そんな直人を、今日の仕事で自信をなくしかけていた舞は羨ましく思いながらも、
「うわっ! 何これ美味しい! 直人、天才じゃん!」
カレーのあまりの美味しさに、直人を褒めたたえた。
ガツガツとカレーを頬張る舞を、直人はしばらく黙って見ていたが、
「……で? 舞の就職先の松野シェフ……だっけ? の実物は、やっぱりイケメンだったのか?」
心なしか不機嫌そうな表情で、そんなことを切り出した。
「あぁ……確かにイケメンなんだろうけど、私はお菓子が美味しければそれでいいから」
またカレーを一口食べるために、舞は一旦言葉を区切った。
口の中のものをごくんと飲み込んでから、
「でもあまりに自信過剰な発言するから、自惚れんなって言っちゃって……」
今日のやらかしを鮮明に思い出して、しゅんと項垂れた。
「……舞って、昔っから心の声ダダ漏れるタイプだもんな」
簡単に想像出来てしまった直人は、両手で頭を抱えた。
「で? 初日でクビ?」
「その覚悟してたんだけど、何か明日も行っていいっぽい」
明日は7時出勤な、と帰り際に友季に声をかけられたから。
「7時か……早いな」
「この業界はどこもそんなもんでしょ」
舞はまたカレーを口に運び、その美味しさにまたしても、にんまりと笑う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます