第17話
初出勤日の業務も無事に終わり、
「あぁぁ、疲れたぁー」
舞は、自宅であるアパートの一室の扉を開けた。
外はもう既に真っ暗だが、室内の明かりは点けられていて、
「あ。おかえり」
エプロン姿の少年――
「あー、カレーの匂いがするー」
鼻をすんすんと鳴らす舞に、
「いいから、先に手ぇ洗ってこいよ」
直人は呆れた眼差しを向けた。
この直人という少年は、舞と2人でこの部屋で暮らしてはいるが、別に舞とは恋人同士というわけではない。
今年の春に高校を卒業して、数日後に調理師専門学校への入学を控えている18歳。
舞とは、母方側の
舞の就職先が実家から遠いために一人暮らしをしようとしていたのだが、直人の学校が偶然その近くにあったため、ルームシェアをさせようと親同士が勝手に決めてしまったのだ。
舞自身も初めての一人暮らしで不安だったので、調理師志望の直人が一緒の方が、食事面でも防犯面でも何かと安心出来て都合がいい。
「ずーっと甘い匂い嗅いでたから、カレーとかそういうの食べたかったんだよねー」
手を洗い、部屋着に着替えた舞は、嬉しそうにテーブルに着いた。
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