第13話

ヘタ取りをしていた作業台周りに血は落ちていないと友季の確認が取れたので、舞はまた作業を再開した。



ボウルの中に、ヘタを取った苺をどんどんと入れていく。



傷やへこみのない綺麗なものは、飾り付け用に、傷んでいる部位があるものは、そこをナイフで削り取りながらサンド用にと2つのボウルに分ける。



飾り用の苺も勿論大切なのだが、このサンド用と呼ばれる苺の消費スピードがなかなかに速く、



「……なんだ、まだこれだけしか溜まってないのか」



苺ショートの仕上げをしようとしていた友季に、ムッとされた。



見た目の綺麗な苺がなかなか多く、飾り用のボウルにばかり放り込んでいたので、



「こっち(飾り用)から少しもらうぞ」



折角分けた苺が、1つのボウルにまとめて持って行かれた。



(あっ……!)



優先順位を考えるとそれが正しいのだろうが、



(私の苦労が……!)



わざわざ選別をしたのに無意味だったと言われたようで、悲しくなった。



と、同時に、



(……っの、クソオーナーめ!)



舞の中では第一印象から既に“最悪”のレッテルを貼られている友季にされたことなので、その分恨みの念も深い。



(くっそー!)

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