第13話

病名を宣告されて、3ヶ月が経った頃。



俺と美姫は、相も変わらない生活を送っていた。



治療薬として処方されていたアリセプト錠の服用量は、3mgから5mgに増えたりはしたのだが……



その効果が現れ始めたのか、美姫の物忘れは各段に減っているように思えた。



「もう天然ちゃんなんて呼ばせないから!」



笑ってそう宣言できるくらい、美姫にも元気が戻ってきていた。



そんな美姫に安心しきっていた俺は、ある不安ですらも、そのまま心の外に追いやろうとしていた。



けれど、



いつでも、どんな時でも、



油断は禁物なのだと教えてくれたのは、



やっぱり彼女だった――……

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