第5話

俺と美姫は、元は幼なじみだった。



俺たちが中学校に入学する頃、急に俺の父親がイギリスに転勤することになった。



必然的に、俺も一緒にイギリスで暮らすことが決まったのだが……



その頃から、俺は美姫の存在を女性として意識するようになっていた。



彼女も、俺を好きだと言ってくれた。



だから、俺は必ず日本に帰ってきて、美姫を迎えに行くことを約束した。



イギリスでの暮らしは、言語の壁やら風習の壁ばかりが立ちはだかっていて、正直、俺には苦痛でしかなかった。



それでも、高校を卒業するまでの6年間を、弱音も吐かずに頑張って来られたのは、美姫の存在があったからだ。



そのせいか、俺が日本の大学に進学したいと言い出した時も、両親は快く受け入れてくれた。

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