第6話 ー 4

 連れられやってきたのは、最初にこの世界に来た場所だ。


 校門の外。

 ピンク色の空に、水色の雲、紫色の山。

 異様な光景が良く見える、この場所。



 その場所には、見慣れた3人が立っていた。

 ひよちゃんと友達2人だ。



「えぇ、リコちゃんどういうこと!?」

「リコちゃん、体が……!!」



 元の世界にいた頃、よくこんな漫画を読んだっけ。

 体が半透明になって、最後は消えていくみたいな。


 そんなこと思いながら少し離れた位置から眺めていると、あの男は3人に歩み寄って行った。



「リコさん、“おめでとう”。“失っていたものは、全て取り戻したかな?”」



 意味深な言葉を掛けながら、リコさんの肩を叩く。


 そんな男に向かってニヤッと微笑んだ彼女は、「ふふっ」と声を上げて言葉を継いだ。



「“私、ちゃんと死んでたんだ”」

「……いや、第2の人生を歩んで貰っただけだよ」

「それを“死と言うでしょ”。いやぁでも、本当に全部忘れてた」

「楽しかった?」

「うん、凄く楽しかった。人生やり直せたみたいで本当に、本当に良かったよ。ありがとう、ワタル先生」



 半透明のリコさんは、またニヤッと微笑んで、ひよちゃんとレイカさんの方を向く。


 状況を理解出来ていない2人は、「え?」と声を上げながら戸惑っていた。



「レイカちゃん。ヒヨリちゃん。私と仲良くしてくれてありがとう。本当に楽しかった。もう二度と会えないと思うけれど、またどこかで会いたい。そう思うくらい、2人が本当に大好き!」

「リコちゃん……」



 体がどんどん消えていく。

 段々と透明になってきたリコさんは、最後に言葉を発した。



「私は綾野あやの梨子りこ、17歳。さようなら、天乃岬学園高校。ワタル先生、レイカちゃん、ヒヨリちゃん、さようなら……ありがとう!!」



 光輝き、消えていくリコさん。

 “校歌”の【笑顔のレクイエム】が鳴り響く校門の外で、俺ら4人はただ立ち尽くして空を眺めていた。

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