白崎蓮斗 — 第6話

第6話 ー 1

『ねぇ、蓮斗くんって……彼女居るの?』

『えっ? な、何で……』

『私、蓮斗くんのことが好きだから』



 趣味や笑いのツボが良く似てて話が盛り上がるひよちゃん。



 部活終わりの暗い夜道の中、そんな彼女と帰っていた時のこと。


 ふと、彼女の方からそう切り出して来た。


 僅かな街灯が俺らを微かに照らす。

 そんな暗闇の中でも分かるくらい、隣に居るひよちゃんの頬は真っ赤に染まっていた。


 訪れる静寂。2人とも妙に震える体。



 俺もこの時、ひよちゃんのことが好きだった。

 突然の言葉にはびっくりしたけれど……それ以上に嬉しかった。


 だから俺は、震える体を抑えながら、どうにか言葉を発したんだ。




『……彼女は居ないよ。……俺も、ひよちゃんのことが好きなんだ……』

『本当に?』

『嘘は言わないよ。俺を、君の彼氏にしてくれるかな……』

『……こちらこそ、私を彼女にして下さい』




 お互いそう言ってから、そっと繋いだ手。

 今でも思い出す、あの時の気恥ずかしくも嬉しいという複雑な感情。


 こんな告白が存在するのか。後々2人で思い返しては、何度も笑ったっけ……。




 大切な記憶。

 ひよちゃんと俺の……大切な、想い出。

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