第62話
頼斗のメッセージアプリ内の友達リストに、新しく希美の名前が加わったのを見て、
「サンキュ!」
頼斗はとても嬉しそうに笑った。
「!」
その飾り気のない笑顔に、希美はドキッとしてしまう。
(……ダメだ……桐生君と距離を置こうと思ってたのに……)
気持ちとは裏腹な行動をする自分に、希美は心底嫌気が差した。
人気者の彼と仲良くなるということは、
「いいなぁ、梅本さん」
他の女子を、全員敵に回すということになる。
「ねぇ、桐生君! 私とも連絡先交換してよ!」
「同じクラスになったの、梅本さんだけじゃないんだから!」
「あ、ズルい! 私も!」
頼斗と希美のやり取りに気付いたクラスの女子たちが、次々と頼斗に群がってきた。
その勢いに、
「ちょっと、アンタ邪魔!」
頼斗の隣の席に座っていた希美は、またしても追い出されることに。
その希美の突き飛ばし方には、明らかな敵意と必要以上の力が込められていて、
「痛っ……」
希美は掴まれた左肩を押さえた。
頼斗はその様子を見ていたのだが、
「……」
今ここで彼女たちを突き放せば、その八つ当たりの矛先が希美に向けられることは分かりきっていたので、
「分かったよ……QRコード出すから、順番に読み取って」
不本意ではあるが、彼女たち全員と連絡先を交換することにした。
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