第58話

その一言に、



「……他人事だと思って」



頼斗はむくれながら唯を睨みつけた。



「今までのお前の行いを見てたら、誰でもそう思うだろ」



ずっと余裕そうにしていた頼斗の困惑する様子は、本当にレアだから。



「……梅本の信用も全くないんだよな、俺……」



「頼斗……まさかと思うけど……」



唯は、頼斗の顔を恐る恐る覗き込んだ。



「もう告白したのか?」



「告白っていうか……付き合おうって」



「……で?」



「……チャラいって言われて、全く相手にされなかった」



梅本は確かに男に媚びるようなタイプでは全くないが、



「……手強いな」



頼斗にチャラいと言えてしまう辺り、一筋縄ではいかなそうだ。



「まぁ彼氏もいる子だから、いきなり付き合ってくれって言われてもなぁ」



唐突すぎるので、断りたい気持ちも分かる。



「急ぎすぎたんじゃないのか、お前」



「……どうしても、彼氏の所に行かせたくなかったんだよ」



「それは自分の気持ちを押し付けすぎだろ」



唯は頭を抱えた。



「頼斗は乙女心のよく分かってるヤツだと思ってたのに」



「……梅本は、他の女とは何か違うんだよ」



だからこそ、こんなに惹かれているのだ。

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