第47話

「……私には彼氏がいるって、前にも言ったよね?」



頼斗の気持ち云々だけではない問題が他にもあるのだ。



「知ってる。でも、梅本は本当にその彼氏のことが好きなのか?」



頼斗に痛い所を突かれ、



「……桐生君だって、まだ好きがどういうものなのか知らないくせに」



否定も肯定も出来ず、だからと言ってそれを頼斗に言われる筋合いもないので、そう言い返した。



「あぁ、まだ知らない。でも、彼氏のことを好きだって断言出来ないような状態なら――」



頼斗は一旦言葉を区切り、希美のことを真っ直ぐに見据えた。



「俺のことも、ちゃんと見て欲しい」



「……」



「その上で俺のことを拒絶するなら、その時はちゃんと納得はする。まぁ、でも――……そんなことくらいで梅本のことを諦めたりはしないと思うけど」



「なっ……!?」



頼斗の言葉に、希美の顔が真っ赤に染まった。



「……その顔は、俺にも少しは可能性があると思ってもいいのかな?」



頼斗は意地悪げにニヤリと笑う。



「ばっ……馬鹿なこと言わないでよ!!」



希美は慌てて頼斗から顔を背けた。

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