第42話

唯が進行役を務める会議の最中、



「……」



頼斗は、隣に座っている希美の横顔をちらりと盗み見た。



希美は、先程のLHRではこの役割を嫌がっているように見えたのに、今は真剣な表情でメモを取っている。



この真剣な眼差しが、もしも自分に向けられたら……と無意識に想像してしまい、



「……っ」



頼斗は顔に熱が集まるのを感じた。



(え……? 俺、今何を想像して……?)



無意識の行動に、自分自身で戸惑った。



「頼斗? 俺の話聞いてるか?」



黒板の前に立って、今年1年間の行事とその際の学級委員長の役割の説明を行っていた唯が、頼斗を怪訝けげんそうな目で睨みつけた。



唯の声に、他のクラスの委員長たちも頼斗の方へ視線を向ける。



皆が見つめる中、



「……へ? ごめん、何だっけ?」



人から注目されることに慣れている頼斗は、あっけらかんと首を傾げた。



その大物感溢れる頼斗の態度に、



「お前ね……もう少し悪びれるとか出来ないの?」



唯は呆れ、周囲はクスクスと笑い出した。



「梅本さんは、今の説明分かった?」



唯の質問に、



「大丈夫です。ちゃんとメモも取ってます」



希美は大きく頷いてみせ、



「後で桐生君に説明してあげるね」



頼斗ににっこりと笑いかけた。



その笑顔に、頼斗はドキッとしつつ、



「え……あ、ありがとう」



何とか礼だけは伝えた。

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