第41話

「はぁ!?」



頼斗は慌てて唯の顔を見た。



その頼斗の大声に、唯の台詞が聞こえていなかった希美はびくっと体を震わせた。



「……?」



何事かと2人を見つめる希美の前で、



「姫花から、頼斗が梅本さんを狙ってるのかもしれないって聞いたから」



「姫花のヤツ、何を勝手に勘違いを……!」



男2人はコソコソと話を進めた。



「姫花の勘違いなのか?」



唯は声のボリュームを元の大きさに戻し、きょとんとした。



「当たり前だろ! この俺が、そんな理由でこんなことするわけが――」



頼斗はそう言いながら、



(……あれ? なんで俺、梅本のこと庇ったりしてるんだろ?)



今更ながらに、そんな疑問にぶつかった。



「……」



頼斗は、ちらりと隣の希美を見る。



「あの……?」



恐る恐る自分を見上げる希美と目が合い――



「……」



このアーモンド型の綺麗な目に映っているのが、一昨日見かけたあの男だけなのだと思うと、



「……っ」



何故だか胸の奥がざわついた。



「おーい、頼斗ー? どうした?」



唯の声で、頼斗はハッと我に返る。



「……いや、何でもない」



頼斗が首を横に振ると、



「そろそろ会議が始まるから、お前らも席に着いとけよ」



唯が、2人の座るべき席を指で指して教えてくれた。

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