第35話
初めてした時は、凄く優しかったのに。
こんなはずではなかったのに。
いつからこうなってしまったのだろう?
何を間違えてしまったのだろう?
――私の何が、ケンちゃんは気に入らないのだろう?
そんなことを延々と考えながら、ただ行為が終わるのを歯を食いしばって待った。
永遠のようにも感じた、ただ痛いだけの時間がやっと終わった頃には、
「ねぇ、ケンちゃん……」
賢祐の温もりが欲しくて、彼にそっと擦り寄れば、
「うぜぇな! 黙って寝かせろよ」
彼に伸ばしかけた手をパシッと叩かれた。
「……」
彼は一体、何のために希美と付き合っているのか。
何のために希美を抱くのか。
問いただすまでもなく、その答えは分かっているような気はするのだが――
家族のいない一人ぼっちの希美にとって、心の
そんな彼に、自分から別れを切り出す勇気を、希美は持ち合わせてはいなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます