第27話
「相手をよく知りもしないうちに断るのは失礼だ――とか何とか、そういうの聞いたことない?」
姫花は呆れたように両手を上げる。
「初めて聞いた……」
目を丸くする希美に、
「梅ちゃん、元々頼斗に興味ないもんね」
姫花は苦笑した。
「まぁ、そんなこと言ってるから、早く告白したもん勝ち……なんて暗黙のルールがあるみたい。頼斗も、フリーの状態なら絶対に断らないし」
「……」
そういえば、頼斗は昨日“本気で惚れさせてくれる女の子を募集中だ”とか言っていた。
「……桐生君って、自分から女の子に告白したことあるのかな?」
「ないでしょ、多分。本気で好きな子すらいないのに」
「そっかぁ……」
それならば、今朝、頼斗が希美に言った“俺のことどう?”というのは、どういう意図があったのか。
姫花の友達だから、面白がって聞いただけなのだろうか。
頼斗の考えていることが分からず、1人で首を捻っていると、
「皆、ごめん! 今は誰とも付き合う気ないから! ごめんね!」
そんな頼斗の声が聞こえ、
「えーっ!!」
集まった女子たちから、ブーイングの嵐が巻き起こった。
「なんでよー!?」
「女の子の告白、断らないんじゃなかったのー!?」
そんな声が一斉に響いた。
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