第24話

露骨に落ち込んだ頼斗を見て、



「ごめんね……私みたいなのが桐生君と仲良くしてるところを見られたら、イジメの的にされちゃうから」



希美は申し訳なさそうに頭を下げた。



「心配してくれただけなのに、ごめんね」



「……」



希美は、今まで頼斗が付き合ってきた女の子たちとは、やはり何かが違う。



「俺のせいでイジメられたら、言って」



頼斗は、また椅子ごとグイッと希美に近付いた。



「えっ……」



思わず頼斗から身を引く希美に、



「梅本のことは、俺が守るから」



頼斗はにっこりと優しい笑みを浮かべた。



「……桐生君、彼女いるんでしょ?」



希美の質問に、



「今はいない」



頼斗は即答した。



「え!? 今回はフラれるの早くない!?」



希美は驚いたが、



「まぁね」



本当は今回フッたのは頼斗の方だが、別れたことに変わりはないので、訂正もしなかった。



「俺、今フリーなんだけど……梅本、どう? 俺のこと」



頼斗は、冗談半分、本気半分で希美の顔を覗き込んだ。



他の女子なら、きっと喜んで頷くであろうその質問に、希美は――



「私は今の彼氏が大事だから」



頼斗から、プイッと顔を背けた。

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