第16話
そんな2人の様子を黙って見ていた頼斗は、
「みさとちゃんと別れたのって、いつ?」
男に、そんな質問をした。
「……今日の昼休みに、別れようっていきなりメッセージ送ってきて……」
「ふーん。そう……」
頼斗は小さく頷いた。
「じゃあ……今朝、俺に告白してきた時には、まだ彼とは付き合ってたんだ?」
男からみさとへ視線を移した頼斗の目は、
「……あ……」
みさとが体をビクッと震わせる程、冷たい眼差しをしていた。
先程までの甘く優しい雰囲気は欠片も見られない。
「俺と彼を、天秤にかけてたの?」
「ち、違っ……私は、初めて見た時からライのことが好きで……」
みさとの言葉に、
「……」
頼斗は無言で眉間に皺を寄せ、
「じゃあ、俺との半年間は何だったんだよ!?」
男は思わず叫んでいた。
「ふぅ……」
頼斗は大きな溜息をつくと、
「男を馬鹿にしすぎだ」
財布から自分の分の代金を取り出すとテーブルの上に置く。
「俺はもうこの子とは別れるから、後は2人で好きなだけ話し合って」
そう言って、席を立った。
「あっ! 待ってよ、ライ!」
みさとは慌てて立ち上がろうとしたが、
「俺との話は終わってないぞ!」
男が腕を掴んで止めた。
それを確認した頼斗は、
「さよなら、みさとちゃん」
もうみさととは目も合わせることなく、さっさと店を出た。
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