第15話

駅近くのファミレスで、頼斗は例のみさとちゃんと2人で夕食を取っていた。



「あの……頼斗って呼んでもいいかな?」



パスタを食べていたみさとが、向かいの席でハンバーグセットを食べている頼斗の顔を恐る恐る覗き込んだ。



頼斗は口の中のハンバーグをごくんと飲み込んでから、



「ライでいいよ。皆そう呼んでるし」



にっこりと甘い笑顔を浮かべた。



「う、うん!」



頼斗の笑顔に、みさとは恥ずかしそうに俯いた。



みさとには説明しなかったが、頼斗は今まで付き合った子たちには全員、“ライ”と呼ばせている。



理由は特にないが、何となく“頼斗”と呼ばれることに抵抗があった。



「あの、ライ……」



みさとが何か言いかけたその瞬間、



「みさと! いきなり別れてくれってどういうことなんだよ!」



同じ高校の制服を着た男子生徒が突然現れ、食事中のみさとの肩を掴んできた。



「ちょっと、こんな所でやめてよ!」



みさとは慌てて男の手を振り払う。



「私はもうライと付き合ってるんだから!」



みさとのその台詞に、



「ライ……?」



男が、やっと頼斗の存在に気が付いた。



「桐生……頼斗……」



信じられないとでも言いたげに目を見開き、頼斗を見る。



「……嘘だろ……」



校内一のイケメンと名高い頼斗に、勝てるわけがない。



そう悟った男は、ショックで数歩後ずさった。

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