第14話

「……絶対に他の男に渡したくないって思ってから、気付いたかな」



唯は真剣な表情で答えた。



「……」



ちょっと恐怖すら感じるその発言に、頼斗は一瞬黙った。



「皆、そうなるもんなのか?」



「んー? どうなんだろ? 人によるかもな」



唯は頼斗が引いていることには気付かずに首を傾げた。



そして、



「今の彼女は、そう思わないのか?」



そんな質問をぶつけてきた。



「……え?」



「中庭で告白されてるの、窓から見えてたから」



「あー……」



頼斗は頭をガシガシと掻きむしった。



姉を一途に思い続けている唯に、あの場面を見られるのは何となく気まずいと思っていたのに。



「これから相手のことを知る予定だから」



「……ふーん」



唯は一瞬何か言いたげな目をしたが、それ以上そのことには触れなかった。



「今日付き合ったばっかりなのに、ここでゲームなんてしてていいの? お前」



「あー……彼女、今、部活やってるから」



「何部の子?」



「吹奏楽部」



さらっと答えた頼斗に、



「練習、見に行ってあげたらいいのに」



唯は残念そうな顔をした。



「終わったら、一緒に飯食いに行く約束してるから」



「……本当にここにはゲームしに来ただけなんだな、頼斗は」



唯は、今度は呆れた顔をして溜息をついた。

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