第11話

始業式と、新入生のための入学式が無事に終わった放課後のこと。



真っ直ぐに帰宅した頼斗は私服に着替え、幼なじみの市川いちかわ ゆいの家へと向かった。



唯は、頼斗と同じ高校に通う3年生で――姫花の彼氏である。



インターホンを鳴らすと、



「あれ? 頼斗?」



まだ制服を着たままの唯が出迎えた。



「今日、来る約束してたっけ?」



唯は首を傾げたが、



「姫花が梅本と買い物行くって話してたから、唯は寂しがってるだろうなーと思って」



頼斗は学校帰りに寄ったコンビニで買ってきた、スナック菓子の入った袋を持ち上げた。



「これ食いながら一緒にゲームやろうぜ!」



「……単に俺の部屋でゲームがしたかっただけか」



唯は呆れたように溜息をついた。



「いいよ。今日はうちも親いないし」



「やった!」



アポなしでも、こうして文句も言わずに遊んでくれるところが、幼なじみのいいところだ。



家に上げてもらい、唯が私服に着替えたり、キッチンでお茶の用意などをしている間に、唯の部屋へと勝手に入る。



テレビ台の下に綺麗に片付けられているゲーム機を勝手に引っ張り出し、セッティングする。



勝手知ったる幼なじみの部屋って、最高だ。



「……我が物顔してるよなぁ」



唯がお盆に2人分のお茶を載せて部屋に入った時には、既に頼斗はゲームのプレイを始めていた。

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