第10話

頼斗にとって、女の子なんて皆同じようなものなのだ。



最初に提示した条件をすんなり飲むくせに、いざ付き合い出せば、会う回数が少ないだの、連絡頻度が低いだの文句を垂れる。



挙句の果てには“私のこと好き?”という質問を雨のように浴びせてきて、“好き”と答えれば、気持ちがこもっていないと泣かれ。



かと言って“分からない”と正直に答えれば、それはそれで号泣される。



そして、最終的な質問が、



『私とゲーム(アニメ、漫画)どっちが大事なの!?』



である。



毎度毎度、どの女の子もパターンが同じで、そろそろ本気でゲームの方が好きなのかもと思っているくらいだ。



ゲームなら、簡単には攻略出来ないから。



女の子は、喜ぶ言葉も悲しむ言葉ももう分かりきっていて、展開が読めてしまうから。



単に相手を落とすだけのゲームなら、簡単過ぎて面白くも何ともない。



だからこそ、思う。



落とすのではなく、落とされてみたいと。



自分を愛してくれる女の子ではなく、ただひたすら愛したいと思える女の子に出会いたいと。



自分の両親のような、または姫花のような……そんな幸せそうな恋愛を、いつか自分もしてみたい。



そう思っているだけなのに。



世の中は、本当に上手くいかないことだらけなのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る