第9話

「2年くらい……だっけ?」



「うん、この春で3年目に入ったとこ」



そんな2人のやり取りを、



「……」



女の子との関係はもって3ヶ月の頼斗は、黙って聞いていた。



「頼斗も、梅ちゃんのところを見習いなさいよ」



そう言う姫花の右手の薬指には、綺麗な蒼い石の付いた指輪がめられている。



姫花にも、目も当てていられない程のラブラブな彼氏がいる。



頼斗の周りには幸せそうな恋愛をしている人が多いようだ。



まったく羨ましい限りである。



「長続きの秘訣って、何なの?」



頼斗は思わず、そう問いかけていた。



「うーん……秘訣というか……お互いのことを好きでい続けること、じゃない?」



希美は逆にそう問いかけたが、



「……」



そもそも相手のことを好きになるために付き合いを始めている頼斗には、根本的なズレしか感じられない。



黙り込んだ頼斗を見て、



「……桐生君って、好きでもない子とでも平気で付き合えるのね」



希美は冷ややかな視線を投げてきた。



「すっごくモテてるのに、すっごく残念」



「悪かったな」



頼斗は思わずムッとした。



そんなこと、言われなくても分かっている。



だから、真剣に悩んでいるのに。

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