第8話

「イルナ嬢。今日も麗しい」

 

 ガイルは登校するとすぐにイルナに朝の挨拶に向かうがそれは一人の男によって阻まれた。


「どうもガイル王子。俺はこの国の王太子ディオス。ここにいるのは俺の婚約者のイルナだ」


「これはこれは、いつも婚約者を放っていると言う噂のディオス様にお会いできて嬉しいです、まあ、私の方が彼女に相応しいとわかったので」


(こいつ!!ブンなぐてやりたい)

 だがそんなことをしたら友好な関係を築いている関係にヒビが入ってしまう。

 悔しいのはグッとらえてにこやかに返す。


「いつもイルナに断られているのにしつこく付き纏うのが隣国流なのですね、おかわいそうに」


最大の嫌味を込めた一言はガイルにダメージを与えたらしく無言になった。


「初めましてディオス様。私はガイル様の補佐官をしているラナと申します。私が王子の暴挙を止めることがでず申し訳ございません」


(補佐官はまともな人間なのだな)

 ガイルのわがままに耐えられるくらいだ、この男はハートが強くて仕事ができる男なのだろう。「ラナ殿の心中お察しします」


そう言うとラナは苦笑いしてガイルを見た。


「彼の方は前世猪だったのではと言うほど直情なのです。今回の留学も海外の文化に触れてその性格を直すためだったのですがイルナ嬢に出会って悪化してしまったというか…イルナ嬢にご迷惑をかけて申し訳なく」


「なるほど…ですがあなたが一緒なら少しは安心ですね、イルナは私の大切な婚約者ですので、どうか、傷つけることがないようにお願いします」


「承知いたしました」


ラナはにまだ憤慨しているガイル王子を無理やり引きずって自分たちのせきに座った。


「イルナにはいらない心労をかけたな。毎日大変だっただろう」


「そんな…私は大丈夫です。それより殿下の顔色がすぐれないことが心配で」


ひどい顔色なのだろう。最近は睡眠を削って仕事をしていたから。


「じゃあ昼休憩の時イルナの膝枕で寝かせてくれるか?」


「ディオス様。もちろんです。それで少しでもお休みになられるなら」


やはり優しい。この少女はどうして悪役令嬢などになってしまったのか。皆目検討がつかなかった。

約束通り昼休みはイルナの膝枕で昼寝をした。柔らかくて温かなそれは眠りを誘うには十分すぎるものだった。


ハッと気がつくと俺は神殿の中庭のようなテラスでお茶をのんでいた。


「ここは一体?」


「ふふ。わたしは女神オーロランジェこの世の生と死を司るものよ」


「そのような方がなぜ?」


「決まっているでしょう。貴方の働きに労いをとおもって」


意味がわからない。女神がなぜ俺に労いをかける必要があるのが。


「わからないようね。貴方の婚約者イルナのことよ。

このままでは彼女は悪役令嬢まっしぐらだったのを貴方がすくったの」


「そもそもそれがわからないのです。あんなに良い娘のイルナが何故悪役令嬢になど…」


「愛よ」


オーロランジェはそういうと一口お茶を口にした。


彼女は愛情深い子だから、あなたのマリアへの心変わりが許せずにマリアにいやがらせをしていたの。他の攻略対象と結ばれても貴方はマリアを陰ながら思い続けていたから我慢ならなくて、イルナは強行にはしらずをえなかった。


つまりはゲームの俺があまりにもクズだったせいでイルナが悪役令嬢になっていたのか。


「良いことだわ。幸せな人を見るのが好きだからあなたのことは評価しているのよ。今後も励むようにね」


まだ聞きたいことがあったが光に包まれて次に目が覚めた時にはイルナの膝の上だった

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