第44話

「放課後なんだからいいでしょ、別にー!」



梅本は、頼斗に反論した。



「……へぇ。梅本ってコーラル系のリップも似合うんだな」



頼斗は、梅本の顔をまじまじと見つめた。



「えっ……そ、そうかな?」



流石は校内一のモテ男は、言うことが違う。



我が弟ながら、ちょっと尊敬した姫花であった。



「え? コーラル? サンゴがどうかしたのか?」



頼斗よりも少し遅れて、唯が教室に入ってきた。



明らかに乙女心に疎そうな発言をした唯に、頼斗が哀れみを込めた眼差しを向けた。



さて、好きな女の子がバッチリメイクをしているのを見て、唯は何と声をかけるのか――?



「姫花……」



唯が、姫花の変化に気が付いた。



「……」



大人っぽいとか可愛いとか言ってくれるのかな、と姫花は内心そわそわする。



「どうしたんだ、その顔……」



明らかにテンションの下がったような唯の声に、



「……」



「……」



「……」



姫花、頼斗、梅本の3人のテンションの方がもっと下がった。

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