素直になるのって恥ずかしくない!?

第42話

あれから一応、唯とは無事に仲直りも出来て、いつもの日常に戻ることは出来た。



でも時々――唯はとてつもなく寂しそうな表情をすることがある。



何がそんなに唯を苦しめているのか、姫花には到底分からないし、訊いても教えてもらえない。



姫花が困った時はすぐに助けてくれるクセに、唯が困った時には相談すらしてくれないのだ。



そんなに頼りないだろうか? と不安になってしまう。



「姫ちゃん、折角メイクしてあげてるのに表情暗〜い」



姫花が考え事をしていると、貴重な友人である梅本がむぅ、と唇を尖らせた。



「あ、ごめん……何だっけ?」



我に返り、放課後の教室で梅本にメイクをしてもらっている最中であることを思い出した。



今日は放課後に学級委員長会議があるとかで、唯もそれに参加している。



唯に、終わるまで教室で待つように言われていたので、その間に梅本が姫花の顔で遊びたいと言い出したのだ。



「姫ちゃんは、赤リップが似合うね〜って言ったの!」



梅本に言われ、鏡を覗くと――



「え? 誰これ!?」



見慣れない顔が、そこにはあった。



唯一見慣れている蒼い瞳が変わらずあったお陰で、数秒後にはこれが自分の顔だと認識出来た。



「大人っぽくなったでしょ〜」



梅本は、うふふーと笑っている。



いつもすっぴんで過ごしている姫花には、何をどうしてこんなに見違えたのかが分からない。



「梅ちゃん、凄い!」



姫花は思わず拍手をした。

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