第27話

姫花が帰った後の自室のベッドで、唯は突っ伏すように寝転がり、自己嫌悪に陥っていた。



――どうしよう、やらかした……



明日から、姫花にどんな顔をして会えばいいのか分からない。



「うぅ〜……」



思い返せば返す程、後悔が押し寄せて変な呻き声を上げる。



と、そこへ、



――♪♪♪♪♪♪――



着信を知らせるスマホの音が鳴り響いた。



画面には“頼斗”と表示されている。



出ないわけにもいかず、通話ボタンを指先でスライドさせた。



「……もしもし」



『あ、唯? 姫花と何かあったのか?』



想定していた通りの内容に、



「いや、あの……」



用意していたはずの返事や言い訳が出てこなかった。



『何か、姫花アイツ……めちゃくちゃ泣きながら怒って帰って来たんだけど』



「……だよな」



『一体何をやらかしたら、あんな風になるんだ?』



「えーっと……」



言いたくはないが、頼斗なら何かアドバイスをくれるかもと思い、唯は正直に話すことを決意した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る