第26話

てっきり、自分のことを意識してくれているのかと思っていたのに。



姫花を怖がらせないようにと、告白するタイミングを計っていたところだったのに。



それを、あっさり他の男に持っていかれるなんて。



「……ムカつく」



心の声が、完全に口から漏れていた。



「えっ……?」



唯が何に腹を立てているのか全く理解出来ない姫花は、びくっと体を強ばらせた。



そんな姫花の両肩を、唯が逃がさないように掴む。



「唯……?」



恐怖で潤む蒼い瞳と目が合った。



こうなったら、姫花のファーストキスくらいは奪ってやらないと、唯の気が済まない。



「姫花……」



もう気持ちを抑えられなくなった唯は、姫花に唇を求め、そっと顔を近付けた――

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