第24話

そして、後日――



梅本の目論見もくろみ通り、姫花の写真を使ったポスターが校内の掲示板に貼り出された。



『今年は桐生姉弟もモデルとして参加!!』



の文字と共に、夏っぽい白いワンピースを着こなした姫花が、笑顔で写っていた。



それは校内で瞬く間に評判になり、当然のように唯の目にも留まることになった。



「……なっ……!?」



そのポスターを目にした瞬間、唯は動きを止めて固まってしまった。



姫花がファッションショーに出演することなど、全くもって寝耳に水だった(頼斗は別にどうでも良い)。



人前に出て目立つということが大の苦手だったはずなのに、どういう風の吹き回しで引き受けたのか。



いつもなら、こういうことを決める時は唯に一言相談してくれるのに、それすらもなかった。



それに、一番気に食わないのが――



「何だよ、この‪‪表情カオ



ポスターに写っている姫花は、唯にしか見せたことがないはずの、柔らかな笑顔を浮かべていた。



姫花にこの笑顔を向けられているのは、自分だけだと思っていたのに――



「……くそっ」



他のヤツにこんな笑顔を向ける姫花にも、自分だけは特別なんだと思い上がっていた自分自身にも、腹が立った。



だが、それは姫花の彼氏でも何でもない唯が持っていい感情ではない。



その事実が何よりも、



「ムカつく……」



唯の心を掻き乱していくのだった。

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