第23話
このファッションショーは女子向けの衣装しか出展されない。
「コスプレは好きだからいいよって」
「……」
流石は、オタク。
恥じらいや抵抗よりも、己の趣味と興味を選んだのか。
「私の衣装は、姫ちゃんにしか着て欲しくないの」
「……でも……」
「サイズだって、姫ちゃんに合わせて作っちゃったから今更大きく仕立て直すなんて出来ないし」
「……」
押されると弱い姫花の性格を、梅本はよく分かっている。
「……分かった、引き受けるよ」
姫花は小さく溜息をついた。
「やったー! 開催予告のポスターに姫ちゃんの写真使いたいから、明日それ撮りに写真部行こう!」
「えっ? 明日!?」
ちょっと急すぎではないですか?
「本当は今日行きたいけど、その顔じゃ写真撮りたくないでしょ?」
「うっ、確かに……」
でも、写真を撮られるのはいつだって不安だ。
「大丈夫。写真部だって、被写体が姫ちゃんならいつでも喜んで撮ってくれると思うから」
わぁ楽しみだなぁー、と梅本は本当に楽しそうにはしゃいだ。
(……唯にも、明日は一緒に帰れないって伝えなきゃ)
別にそんなことを告げたところで、彼は何も気にしないのだろうとは思うけれど。
そう考えただけで、また胸がズキリと痛む。
でも、この気持ちを手放すことは、まだしばらくは出来そうにない――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます