第21話
学校に到着した姫花は、自分のクラスの席で大人しくしていた。
友達と呼べる存在は、今の姫花には
小学生の頃はまだ友達がいっぱいいたのだが、思春期を迎えた辺りからどんどんと減っていき、中学に入学する頃には誰もいなくなっていた。
その頃からだ――男たらしだのぶりっ子だのと言われるようになったのは。
それなのに、同性から嫌われて傷付いていた姫花に、昔と変わらず接してくれていた唯。
そんな唯に、恋をしないわけがないというのに――
また潤みそうになる瞳。
もう何年も泣くことを我慢していて、昨日久しぶりに爆発したからだろうか。
涙腺が緩くなりすぎていて困る。
「……姫ちゃん?」
唇を噛み締めて涙を堪えている姫花に、同じクラスの女子生徒が声をかけてきた。
この学校の家庭科部員でもある、
「あ、梅ちゃん……おはよう」
この学校で唯一とも言える、姫花の友達だ。
「目が腫れてるけど、どうしたの?」
「あー……実は失恋しちゃって」
えへへと笑って言うと、梅本はくわっと目を見開いて姫花の両肩を掴んできた。
「姫ちゃんを振るアホが存在するの!? この世に!?」
「振られたというか……相手の好みのタイプと私が正反対だと知ったというか」
「姫ちゃんこんなに可愛いのに!」
「……ありがと」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます