第17話

一方、その頃――



唯に自宅まで無事に送り届けてもらった姫花は、



「うわーんっ!」



自室で1人泣いていた。



所詮、外見がいいだけで性格ブスな自分は、唯には恋愛対象として見てもらえないのだと思い知った。



唯に大切にされていると感じたのは、きっと妹のように思われているからで……



自分の勘違いだったと知り、恥ずかしすぎて消えてしまいたいと思った。



それでも、唯への気持ちを捨てることが出来ない。



いつから好きなのかなんて、もう覚えていない。



唯のどこが好きなのかなんて――そんなのありすぎて、一つ一つを挙げていけばキリがない。



姫花に対して意地悪を働く時の、あの楽しそうな笑顔ですらも、好きだと思ってしまう。



あの笑顔を見ると、胸がキュッと苦しくなる。



あぁ、好きだな……



そう思う度に、唯との距離をどうすればいいのか悩んでしまう。



諦めなければいけないのに、好きな気持ちが止められない。



恐らくそれが、姫花にとって最大のコンプレックス――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る