第16話
「でも、姫花は中身も可愛いヤツなんだってことを、俺はちゃんと知ってる」
「……」
まさかとは思った頼斗だったが、今、どうしても聞かねばならない気がする。
「……実は姫花のことが好きなんだ、なんて言わないよな?」
「……」
唯は黙り込み、俯けていた顔が茹でダコのように更に赤く染まった。
「……嘘だろ」
いつも余裕たっぷりの表情で姫花をからかっていた男が、こんなにも恥ずかしそうな顔をするなんて。
「……はぁー……姫花が可愛い……」
真っ赤な顔のまま悶絶する唯は、頼斗のよく知る唯ではない。
「……今まで俺は、地味にモテる学級委員長のお前が彼女を作らないのが不思議だったんだけど」
「……おい。俺に対して“地味”は禁句だぞ」
唯がどうでもいい点で反論してきたが、それはとりあえず無視する。
「お前に未だに彼女が出来ないのって、姫花のせいだったのか?」
「……悪いか?」
否定もせず、逆に質問で返事をしてきた唯に、
「嘘だろ……」
頼斗は頭を抱えた。
「お前にだけは、義弟呼ばわりされたくなかったのに」
「……おい。話が飛躍しすぎてるぞ」
思わずツッコミを入れた唯だったが、
「……でも結婚するなら、姫花がいいな」
本気のトーンで呟いた。
「うわー、マジでやめてくれー」
頼斗は、想像もしたくないと頭を横に振りまくった。
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