第15話
「いくら姫花の気が強いって言っても、上級生の教室に行くのは怖かったと思うけど」
コントローラーをポチポチと連打しながらも、頼斗の指摘は的確だ。
「……だから俺が行くまで待ってろって言っておいたのに」
「お前があまりにも遅いから、心配になったんだろ」
頼斗は相変わらず、唯の方を一瞬たりとも見ずにゲームに集中している。
「……可愛すぎるだろ」
ぼそりと聞こえた唯の独り言に、
「……」
頼斗は一瞬だけ呆れた眼差しを唯へと向け――
「……へっ?」
一瞬だけのつもりが思わず二度見し、そのまま固まった。
「……」
右手の甲で口元を押さえ、軽く俯いた唯の顔が、真っ赤に染まっていた。
初めて見る種類の唯の表情に、頼斗は驚いて唯を凝視し――
「……あ!」
プレイ中のゲームのキャラクターが、モンスターにやられてゲームオーバーになった。
良いところだったのに。
「お前、今まで姫花の顔見る度に可愛い可愛いって散々言っておいて、今更何言ってんの?」
コントローラーを床に置くと、ベッドに腰掛けている唯を体ごと振り返って見上げた。
「……顔は本当に可愛いし、皆もそう言ってるから俺も言いやすいだけだ」
「……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます